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流行感染症

エボラ出血熱とは

エボラ出血熱はエボラウイルスによる急性熱性疾患であり、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱とともに、ウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)の一疾患である。本疾患が必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されることが多い。

EVDで重要な特徴は、血液や体液との接触によりヒトからヒトへ感染が拡大し、多数の死者を出す流行を起こすことである。そのため、EVDの流行は、しばしば注目を浴びてきた。2014年8月、西アフリカ諸国で起こっているEVDの流行は2014年3月にギニアで集団発生から始まり、住民の国境を越える移動により隣国のリベリア、シエラレオネへと流行地が拡大している。EVD患者の発生が持続しており、これまで知られている流行のうち最も大きな流行となっている。

なお、WHOは2014年8月8日に本事例をPublic Health Emergency of International Concern(国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態)とし、流行国等に更なる対応の強化を求めている。

疫学

エボラウイルスはマールブルグウイルスと共にフィロウイルス科(Filoviridae)に属する。
短径が80〜100nm 、長径が700〜1,500nm で、U字状、ひも状、ぜんまい状等多形性を示すが、組織内で 棒状を示し、700nm 前後のサイズがもっとも感染性が高い。スーダン株とザイール株との間には生物学的 かなり差がある。

臨床症状

EVDの最も一般的な症状は、突然の発熱、強い脱力感、筋肉痛、頭痛、喉の痛みなどに始まり、その後、嘔吐、下痢、発疹、肝機能および腎機能の異常、さらに症状が増悪すると出血傾向となる。

検査所見としては白血球数や血小板数の減少、および肝酵素値の上昇が認められる。
潜伏期間は2日から最長3週間といわれており、汚染注射器を通した感染では短く、接触感染では長くなる。
集団発生では致命率は90%にも達することがある。

2000年のウガンダでの流行では上記症状に加えて、衰弱のほか下痢等の消化器症状が目立ち、出血症状が認められたのは10%以下であった。肝臓でのウイルス増殖による肝腫脹により、右季肋部の圧痛や叩打痛が特徴的である。ただし、症状として“EVDに特徴的なもの”はない。

病原診断

血液、咽頭拭い液、尿がウイルス学的検査材料である。迅速診断として、ウイルスゲノムのRT-PCRもしくはリアルタイムRT-PCRによる検出法、ウイルス抗原検出ELISAによる検出法がある。抗体の検出法としてIgG-ELISA, IgM-捕捉ELISA, 間接蛍光抗体法がある。血液、体液等からウイルスを分離するのがもっとも確実な検査法であるが、通常1週間以上を要する。国立感染症研究所ウイルス第一部第一室(村山庁舎)がEVDを含むウイルス性出血熱の検査を担当している。

次のいずれかが満たされた場合、「エボラウイルス病(EVD)」とする。

  • 被験検体からエボラウイルスが分離された。
  • 被験検体からRT-PCR法でエボラウイルスゲノムが検出された。
  • 被験検体から抗原検出ELISA法でエボラウイルス核蛋白が検出された。
  • 間接蛍光抗体法またはIgG ELISAで判定された急性期と回復期に採取されたペア血清のエボラウイルスの核蛋白に対する抗体価が4倍以上の有意に上昇した。

次の場合、「エボラウイルス病(EVD)」を疑う。

  • IgM-capture ELISAでEBO-NPに対する特異的IgM抗体が検出された。

治療・予防

現時点で承認されたワクチンや治療薬はないが、研究段階にあるいくつかの薬剤は西アフリカでの発生を受けて、承認前のヒトへの投与について検討がなされている。治療は対症療法のみである。抗体が検出されるようになると急速に回復に向かう。

疑い患者の血液等を素手で触れないこと(手袋を必ず使用する)が重要である。空気感染はない。

※国立感染症研究所HPより引用